矛先と捌け口と

まーるくなって相談

試合のあと。
サポ仲間と力なく別れて
とぼとぼと駐車場へ。
「どうせすぐには出られないよね」と
バス待ちをしてから帰ることに。


ところがなんとなくいつもと雰囲気が違う。
これは何かがありそうな・・・、そんなイヤな雰囲気。


この日の応援は切れ間なく続いていて 必死で
その代わり 負けたらただでは済まないような様子はすでに感じていた。
クラブ側はそんな匂いをちっとも感じていなかったンだろうか。


バスが直接見えないように張られたカーテンを剥がす人が出て
すでにチームを去った選手たちのコールが始まり
時間が経つにつれ 不穏さは一層深まっていった。


そしてバスを出すために無理矢理張られたロープが意味を成さなくなり
ていうか『怒り』の増幅装置になり
「ケンタ出せ!」の怒号と煽られた熱気が渦巻く。


耐えられなくなって その場をそっと離れた。
見送ろうと思ったけど止めた。


こんなの間違っている。


あの人たちの要求に屈してケンタを差し出すのだけは止めてほしい、と
願いながら帰路についた。
負けが込むたびに監督を呼びつけるようなことが習慣化するなんて
ゾっとする。


が。
それは叶わなかったらしい。


風呂屋サンに置いてあったスポ新で見た、ケンタが頭を下げている写真。


あんな写真撮らせないでよ。
あんなことケンタにさせないでよ。
あんな写真がスポ新の全国版に載って何か良いことがあるの?


情けなくてみっともなくて切なくて悲しいだけだ。


あんな試合のあとで
楽しくサッカーができたとは言えない試合のあとで
何時間も選手たちは気持ちの切り替えどころか
狭い空間に押し込められて
たった三日後に迫った試合に向けて
何か良い方向へ進むのだろうか。


クラブ側の対処の仕方もあまりにも酷い。
なぜもっと上手く捌けなかったのだろう。
自由席1Fを開放してそちらに移動して意見を聞きます、とか
バスを発進させる手立ては本当に要求を呑む以外無かったのか。
本当にああなる雰囲気を感じ取れなかったのか。
散々不適切な対応で怒り猛った人たちを納得させられなくなって
ケンタを差し出したのか、と思うと
がっかりする。


これで
こんなことがきっかけになって
ケンタが目先の一勝だけにこだわるような采配を始めたら・・・
そんな しなくていい不安まで抱えることになってしまった。


選手たちは
ケンタを慕って入団してくれた選手たちは
ケンタにあんなことをさせることになってしまった選手たちは
今どう感じているのだろう。


バラバラな想い。
ピッチの中でも外でも。


そんなことしている場合じゃないハズなのに。