残りひとつ

試合が終わった瞬間 込み上げてきた感情はショックとか諦めとか怒りじゃない。
自分でも説明のできない想いだった。

清水 2−3 新潟
 (金子・コーヤ)


あとひとつ。
たぶんあとひとつさえ勝てば残留は決まる、ハズ。



そう言い続けているうちに7試合終わってしまった。
今日こそ『あとひとつ』の試合になりますように。



祈るようにやって来たダイラ。
凛々しい富士山が厳しい眼差しで見守ってくれてたように思う。



今季ホーム最終戦
サポの熱い想いに応えるように 選手たちも引き締まった表情をしてた。



「これ!こういうの、観たかったのっ!」


試合開始直後から何度そう叫んだことか。
ガツガツと前から行く守備、次から次へと顔を出し味方へのフォローを惜しまない。
ボールへの執着心、気迫。
どれをとっても申し分のない内容だった。


そんな開始14分には ご褒美も。



金子!



テセが潰れ役になった後ろで 落ち着いて決めてくれた!



金子、持ってるな!
昇格ゴールに続いて 残留ゴールだなんて!



先制点なんて、どのくらいぶり?
てかゴールで歓喜の輪、て どのくらいぶり?



上ずった感情が元に戻らないうちに追加点まで!



金子の素晴らしいパスにコーヤらしい胸トラからゴール!



前半で2点だって!
取られることはあっても取ることなんて無かったよね!



金子とコーヤ、若きゴールが残留をぐっと引き寄せた。



あんなに重苦しく始まった試合が 一気に熱を帯びて
肩の荷がすっと下りていく。



スタンドではなくベンチ裏で今季で引退を決めた浩太も
嬉しそうに見守っていた。



行ける!
今日が『あとひとつ』の試合になるんだ!


そう信じて疑わなかったハーフタイムだった。



アクシデントもあった。



不運も重なった。



今季の1位2位を争うような好内容の前半から どうしたらこんな結果になるのか。



ついてない、としか・・・。



ツキに見放されている、としか。



相当な気合を入れて臨んだと思われる試合での逆転負け。
1週間で再び気持ちをまたあそこまで持っていってもらわないとならないんだけど
自信をどこまで取り戻すことができるだろう?
それがないと2点差ついていても3点差であっても4点差であっても
1失点でもしたら 崩れてしまうんじゃないだろうか。
自分たちで自分たちを信じられないと不安はどこまでも付きまとう。



次が最終戦
すべてはそこで決まる。
1週間でもう一度いろんなモノを取り戻してもらわなくちゃ。
『あとひとつ』をここで。


お願い。