特別待遇の解除

昨日は一日、相当忙しかったらしく
ありとあらゆるモノから遮断されてた主人。
帰るコール時の私の声のトーンですべてを悟って
やっとか、とだけ。


淳吾への想いをどう言葉にしよう?


入団当時から ちょっと特殊な感情を淳吾には抱いていて
それを上手く表現できるかどうか自信が無い。
それは本当に不思議な感情で それも自覚してる。
実際、一番身近の主人にどんなに説明しても理解は得られていないし
同意されたこともない。
「お前は淳吾に格別に甘い」
そう言われるだけ。


私が初めて背番号入りのエスパグッズを購入したとき
その番号は『10』だった。


Mr.エスパルス、ノボリの背番号。


エスパサポの多くが そうであるように
私もチームを応援しているのであって特定の選手に思い入れをしていない。
なので「誰が好き?」と聞かれると答えに困っていたし
散々悩んだ挙句「全員」と答えていた。


そんな私が徐々にノボリに惹かれていったのは、たぶん自然。
だって、彼はエスパルスそのものだったから。
戦う姿勢が好きだった。
強くて上手くて美しくて凛々しくて。
現役でいながら すでに伝説。
『12』や『0』だと逃げてる気がして、と なかなか手を出さずにいたレプユニも
毎年毎年『10』を着続けるようにもなっていった。


その彼が引退を発表したときは本当に受け入れがたくて
あのときのことを思い出すと今でも涙が出る。


『10』を誰が付けるのか。


あのノボリのすぐあと
ホントの直後に『10』を着るのは誰なんだろう、と想像を膨らませつつ
誰が付けることになっても大変だなぁ。かわいそうに。
それが正直な感想だった。


次の『10』は将来性豊かな新入団選手に。


そう分かった時には驚き以上にやっぱり同情のほうが大きくて。
かわいそうに。
これから全てにおいて あの偉大なMr.エスパルスと比較され続けてしまう。
かわいそうに。
まだ新人だというのに余計なプレッシャーまで感じなくちゃならないのか。
かわいそうに。


案の定、様々な場面で『10』の重みについて質問を受け続ける淳吾の心中を慮って
見当違いな怒りも沸いてきたし申し訳なさも抱えた。
淳吾、ごめん。
私が謝ることではないけれど。淳吾、ごめん。


だから
言葉の端々から読み取れる『海外への想い』は必ず叶えさせてあげたかった。


もしかしたら最初の契約期間の3年が過ぎたら海外に向けて、
いや直接そうではなくても海外へ移籍するための前段階に向けて
飛び立って行ってしまうかもしれないな。
そのときは気持ちよく送ってあげよう。


そう。
入団したとき、すでに覚悟できてた。
どこか気持ちの上では
所属選手なのにチームに所属していないような、
大切な預かり物をしているような。
だからといって突き放して観ている、というわけでもなく。
覚悟だけが最初からできてた気がする。

淳吾移籍

淳吾には感謝の気持ちしかない。
あの偉大なMr.エスパルスの背番号を汚すことなくしっかりと受け継ぎ
自分なりの『10』をサポに焼き付けてくれた。
新人王を獲得したときはもうそれだけで十分、と思ったし
代表に選出されるようになってからは なんだか肩の荷が下りた気分だった。
『10』を付けることになったばかりに
見えないところで風当たりも相当強かったに違いない。
飄々とした淳吾だからこそ
背負えた番号だったと思ってる。
これでやっと解放してあげられる。


『10』も やっと普通の背番号になる。


もう応援はしないよ。見守ったりもしない。飛び立ったんだからね。
たぶんこんな感情を抱くのは 淳吾に、だけ。
最初で最後。
私もこの不思議な想いから解き放たってもらえる。
早く海外移籍の夢が叶いますように。
それを祈ってる。
じゃね、淳吾。ばいばい。


さっきも書いたけど。


ずっとノボリの背番号のレプリカを着ていた私は
とつぜんの引退の報を受けて
泣きながら「それでもノボリの『10』を着続ける!」と宣言した。
が。
ほんの数か月後には浮気。
新しい背番号入りのレプリカを買い求め
それから5年間ずーっと その番号を選び続けた。


私だけの『二代目 Mr.エスパルス』を見つけた。


それが理由だった。
でも。
勝手な思い込みだった、と。
勝手にいろんな想いを押し付けちゃっていたのね。
重荷、だったよね。ごめん。

ヒョー 完全移籍

終戦の後のセレモニーで
「残った選手たちで頑張っていきたい」
そう言ってくれたことが嬉しかったし
いろんな報道が飛び交っても その台詞を拠りどころにしてたよ。
ばいばい。
たぶん、もう背番号入りのレプリカは買わない。


そして、昨日の発表ではもうひとり。

カズキ 完全移籍

第一報を聞いた時には誤報だと信じて疑わなかったよ。
ヤジのときと同じ気持ち。
環境を変えても自分が変わらなければ 何も変わらないよ。
ばいばい。


TVの実況アナが口を滑らせたり
新聞で所属チームの名前がすでに変わっていたり
公式発表をされていないだけで 誰もが知っている、公然の秘密状態から
ようやくこれで脱した。
なぜここまで遅らせるのか、と 八つ当たりめいた思いも味わったけれど
宙ぶらりんな感情からやっと解放された。


空中分解しそう(いや、すでにしたのか?)なチームに残って
踏ん張って支えてくれることを選んでくれた選手たちに感謝しながら
今季の新エスパルスを応援する。


さあ。前を向いて一歩目を。